近鉄宇治山田駅本屋

 参宮急行電鉄の終着駅として建設。高架線ホームに対応した間口約120mほどの3階建ビルの南西端に5階建塔屋を建ちあげる。外観はクリーム色のタイル、テラコックやスペイン瓦によりスパニッシュ様式で仕上げる。設計はもと鉄道省建築技師の久野節。
 県内で最も多くの人に知られ、使われ続けている登録有形文化財であろう。
 駅舎の長さは今も圧巻で、当時、大阪人の羨望すら集めたのも頷ける。建物中央部には八角形の明かり窓、飾り柱、テラコッタが多用され、繊細な装飾とあいまって優美な形態をみせている。塔屋はもともと火の見櫓を兼ねており、1968年まで伊勢市の消防本部が置かれていた。広告塔のレトロなネオンサインも必見。神都伊勢の表玄関にふさわしい凛とした存在感のある駅舎である。

所在地:伊勢市岩淵2-1-43
構 造:鉄筋コンクリート造3階建(塔屋付)
年 代:昭和6年(1931)
※国の登録有形文化財(建造物)

〔出典:登録有形文化財トレーディングカード(一社 三重県建築士会)〕

 
おまけ

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