八千代玄関棟

 松坂旧城下で通りに東面する料理旅館。玄関棟はやや後退して建つ木造2階建で、東正面に入母屋造の妻を見せ、玄関を構える。1階にロビーなど、2階は中廊下沿いに客室を配する。客室は網代天井や古びを見せた材を用いるなど、室ごとに異なる意匠と趣をもつ。
 八千代は大正初期に松坂城二の丸跡で創業した割烹旅館で、昭和初期に当地にあった元小津家 分家屋敷を買取り移ったと伝わる。玄関棟と大広間棟はその時期に建てられたものだが、豪商と名高い小津家別邸の遺構と伝わる鶴亀棟は古風で上品な意匠となっており大正まで遡ると思われる。玄関棟、大広間棟、鶴亀棟とも登録有形文化財。敷地は旧同心町(現・殿町)に面した土塀の内側にあり、武家屋敷地の趣が残る一帯で歴史的景観を構成する建物の一つになっている。

所在地:松阪市殿町1295
構 造:木造2階建、瓦葺
年 代:昭和初期
※国の登録有形文化財(建造物)

〔出典:登録有形文化財トレーディングカード(一社 三重県建築士会)〕

おまけ

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