麻野館玄関棟

 二見浦に面する二見旅館街のほぼ中央に位置する旅館建築。玄関棟は街道に面する入母屋造桟瓦葺で、周囲に庇を廻らす。1階に玄関、帳場、厨房、浴室等、2階に客室と従業員室を配する。正面西寄りに切妻破風の本玄関を付す。二見の和風旅館の特色を良く示す。
 二見浦では、明治15年に国内初の海水浴場が開かれ、28年頃までには二見浦が参宮者の沐浴潔斎の場として成立していた模様。麻野館が現在地に移転した際、明治28年に玄関棟が建築されたことは、正に二見浦発展の時宜を得ている。明治の伊勢参詣や観光の変遷を物語り現在に繋ぐ建物の一つである。

所在地:伊勢市二見町茶屋537-10
構 造:木造2階建、瓦葺
年 代:明治28年(1895)/改修:大正11年(1922)
※国の登録有形文化財(建造物)

〔出典:登録有形文化財トレーディングカード(一社 三重県建築士会)〕

おまけ

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