南垂れの傾斜地に構える境内に南面して建つ臨済宗妙心寺派の寺院。平面は六間取の方丈形式で、仏間背面に眠蔵(めんぞう)をもつなど古式を備える。軸部や内装は簡明ながら、屋根を本瓦葺として重厚な趣をもつ。地方禅院における江戸中期の方丈型本堂の好例であり、歴史的景観に寄与する。
禅宗で寝室・納戸の類をいう「眼蔵」の奥行を1間半と深くとっている点、「上奥の間」「下奥の間」境に押板式の床の間を設けた点に特徴があり、京都の古式な塔頭(たっちゅう)客殿に倣ったものとみられ全国的にも希少例。近世臨済宗本堂の成立を知る上で貴重な建物。
法要・座禅・食事などの時刻を知らせるための雲板は県の重要文化財(原則非公開)になっている。
所在地:度会郡南伊勢町阿曽浦16番地
構 造:木造平屋建、瓦葺
年 代:延宝5年(1677)/改修:大正前期・平成2年(1990)
※国の登録有形文化財(建造物)
〔出典:登録有形文化財トレーディングカード(一社 三重県建築士会)〕
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